全国に類を見ない事業所“雪調”
昭和初期、積雪の苦に加えて繰り返す凶作のため疲弊しきっていた農村経済を更生させるために、調査・研究・指導を目的とした全国唯一の役所として積雪地方農村経済調査所(以下「雪調」)が、農林省の出先機関として設置された。モデルとすべき前例がない任務
全国初の事業所ということは、とりもなおさず、先人が手をつけたことのない領域の研究課題に取り組む使命を負っていたということである。雪調の業務は、①農村経済係、②副業及び農村工業係、③積雪研究係の三部署で構成されており、それぞれの業務の遂行にあたっては、農業経済学の東畑精一や低温物理学の中谷宇吉郎、建築学の今和次郎、哲学者で民芸研究家の柳宗悦など、各界の第一線で活躍している研究者を糾合して実践的な研究が進められた。